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AI時代。完璧じゃないから、伝わる。揺れのあるブランディング

KNOWLEDGE

AI時代。完璧じゃないから、伝わる。揺れのあるブランディング

AIの進化が“完成度”をもたらした時代に

今や、AIで作れないものはほとんどありません。
楽曲、ビジュアル、ナレーション、コピーライティング、動画編集、プレゼン資料、ロゴ、UIデザイン、アニメーション、さらにはビジネス戦略の骨子や商品企画のアイデアまで、
「整ったアウトプット」は、驚くほど簡単に生成できます。

でも、それが「伝わる」かどうか、「心を動かす」かどうかは、また別の話です。

完璧じゃないから、伝わる

「完璧すぎるもの」って余白がなくて、私はちょっと苦しく感じてしまうことが多いんです。
だからブランドものが苦手だったりもして(笑)
完璧を求めるんじゃなくて、むしろ“ほころび”を楽しめるような、スローなブランドを目指す。
それも立派なブランディングの形だと考えます。

「揺れ」「余白」「ノイズ」が生む共感

完璧に整ったものよりも、どこかに“人間くささ”がにじんでいるもののほうが、心に引っかかることがあります。

それはたとえば、

  • 手作り感
  • 素人感
  • 声の震え
  • タイミングのズレ
  • ほころびや曖昧さ

といった「揺れ」や「ノイズ」によって生まれます。

私たちはそこに、“誰かの存在”や“背景”を無意識に感じ取っているのかもしれません。

こんなキーワードたちが、「人間らしさ」を生み出す

  • 声の震え/息づかい/体温/ノイズ/粗さ/クセ
  • 未完成/スキマ/ブレ/揺らぎ/にじみ/沈黙/雑味
  • 読み手に委ねる解釈の幅/共感の余地/心象/距離感

こうした要素には、AIには持ち得ない「質感」や「手触り感」があります。
それらが“共感=グルーヴ”を生み出していくのです。

東京圏と地方の「ブランディング温度差」

東京圏の企業は、ブランディングや表現に対するリテラシーが高く、洗練を求める傾向が強いと感じています。
一方、地方や幅広い層の人たちにとっては、「温度」や「気配」、「人柄」といった要素がより響きやすいように感じます。

完璧で美しく整っていることよりも、「自分ごと化できるかどうか」が問われるのです。

これは、どちらが正しいという話ではありません。
誰に届けたいか。そこから逆算して「ブランドの温度」を設計することが大切です。

ノイズは、共感の種である

ブランドとは「完璧を演じること」ではなく、「リアルに共感されること」。

だから私は、“整いすぎていないこと”にこそ価値があると思っています。
ノイズや雑味、余白や手触り。そういった人間らしい要素が、結果としてブランドの強さにつながっていく

AIが主役になる時代だからこそ、人間の「揺れ」を、あえて活かす。
それは、これからのブランドづくりにおいて、とても有効な視点だと思うのです。

最後に:この考えを体現した、ひとつの作品をご紹介します

実際に私が関わった作品の中で、こうした「揺れ」や「余白」、「手作り感」が最も詰まったもののひとつが、こちらの社歌ラップです。

【車検・整備など車のサポーター】カーサービスのイシダの社歌ラップ『イッテラッシャイ』

このMVに寄せられた声をご紹介します

  • 「北海道やったらここに頼みたいと思わされる。人柄が伝わる!」
  • 「家族でやってる安心感、信頼感がポップな中にある」
  • 「頭に残るサビ、3回聴いたらもう歌える(笑)」
  • 「町のお店感があって、この“素朴さ”が逆にいい」
  • 「このMV見て、なんかちょっと元気になりました!」

このような反応こそ、“共感=グルーヴ”が届いた証拠だと感じます。
スローで、等身大で、でもちゃんと届く。
そんなブランディングの力を、これからも追求していきます。

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